読書記録
結婚、転職という自分で人生を決めたんだとわかるものもあるけれど、もっと些細な場面で、それこそ日常の積み重ねで人生は変わってくる。自分にとって大切なものは何か、失って初めて気がつくこともあるだろう。大切なものを蔑ろにし続けて取り返しのつかな…
生活の中で本当に大事なものはどれだけあるだろう。忙しく生きるばかりで本当に大事なものがわからなくなっている。 私達はどこまでも行けるなんて感覚はずいぶんと前に忘れてしまった。学生の頃はそう思えたこともあったような気もする。同じものを見て同じ…
出会う手段は何でもいい。ただ、同じ空間で時間を共有したことは何にも代え難い。それが感情を揺さぶられる事象であればあるほど。
子供は素直だ。知らないものには恐怖を感じるが、理解すれば歩み寄る。そして、まだ自分の世界が作られていないからこそ、世界の一部として受け入れることができる。 思春期を迎えるとまた違う。世界はある程度作られてしまうし、教室に一つの社会が出来上が…
暗い空気を纏ったお話なので、元気なときに読むのがよさそう。 人を狂わせるのに特別な力は必要ない。言葉と行動を積み重ねれば圧力になる。形は歪んでいく。誰でも狂わせる側に回れるのだ。そして、狂わされる側にもなるのだ。 誰でも影響されることはある…
本作は「倫理」を題材とした小説風の教科書といったところだろうか。軍事国家となり言論の制限が始まっていた当時、少年少女に送る本として出版された。 誹謗中傷の多い世の中で、読んでほしい一冊。日々の流れの中で忘れてしまっていた、人間としてこうある…
物語は平成12年の公立高校が舞台。限られた手がかりで、今の生徒には忘れられてしまった33年前の出来事の真相に迫るお話。 同じ高校であっても時代により生徒たちの心持ちが全く違うのが印象的。かつて学生運動が盛んな時代があって、現代よりも自主的な意思…
理解できない部分も多かったので、感覚になるがとりあえずまとめてみる。 一族が滅びるまでの話。孫、曾孫…と血が繋がった者が登場する。家族であっても明らかな愛情を表現することのない一家だが、失ってから大事であったことに気づくような描写が随所に見…
こんなに綺麗な小説があるのだろうかと思うくらいに、ひたすらにまっすぐで美しくて素朴な純愛小説。 自然と人が寄り添った生活が残る、伊勢湾の小さな島が舞台。必然と海の描写も増える。朝の海、昼の海、夜の海。広くて大きな海が、単調だが力強い島民の生…
本作は三島由紀夫の代表作のひとつに挙げられることが多い。実際にあった金閣寺放火事件を題材に、主人公が放火に至るまでの心理を丹念に掘り下げて描写している。 三島氏は政治的主張が強い人物というイメージがあったので、情景豊かで詩的な文を読んで驚い…
タイトルにある「ザリガニの鳴くところ」は作中にもよく出てくる言葉だ。ザリガニの鳴き声と聞いても思い浮かばないし、もちろん鳴き声を聞いたこともない。 意味は「生き物たちが自然のままの姿で生きている場所」。そう聞くと、人間のあずかり知らないとこ…