本作は三島由紀夫の代表作のひとつに挙げられることが多い。実際にあった金閣寺放火事件を題材に、主人公が放火に至るまでの心理を丹念に掘り下げて描写している。
三島氏は政治的主張が強い人物というイメージがあったので、情景豊かで詩的な文を読んで驚いた。世界がいつも見ている景色よりも、とても美しく感じられた。
自然や金閣の美しさと比較して、人間は美しくない。どんなに素晴らしいように見える人であっても、何かに執着したり、誤った道に進むこともある。生きていくには、美しいままではいられないものなのだろうか。